エンジニアとして独立する際には、会社員時代には組織によって提供されていたセーフティネットを、自ら構築する必要があります。その中心となるのが、保険への備えです。会社員は健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険といった社会保険制度に加入していますが、フリーランスになるとこれらの多くは自身で手配しなければなりません。まず、公的保険制度である国民健康保険と国民年金への切り替えが必須となります。これらは会社員時代の社会保険とは保障内容や保険料の算出方法が異なるため、独立前に居住地の市区町村窓口で詳細を確認することが推奨されます。加えて、フリーランスが任意で加入を検討すべき保険がいくつか存在します。その一つが、所得補償保険です。フリーランスは病気やケガで業務が遂行できなくなると、収入が直接途絶えるリスクを抱えています。この保険は、そのような不測の事態において収入の減少分を補い、生活の安定を支える役割を果たします。自身の健康が収入に直結するフリーランスにとって、優先度の高い保険といえるでしょう。

次に挙げられるのが、賠償責任保険です。納品したシステムに不具合がありクライアントに損害を与えてしまった場合など、業務上の過失によって発生する損害賠償リスクに備えます。これは、高額な賠償請求から事業と生活を守るための重要な備えとなります。また、すでに加入している医療保険や生命保険についても、独立を機に見直すことが賢明です。会社員時代の団体割引が適用されなくなるケースもあり、ご自身の働き方や家族構成に適した保障を過不足なく準備することが求められます。必ずしも全ての保険に加入する必要はありません。重要なのは、フリーランスという働き方に内在するリスクを正しく認識し、ご自身の事業内容や生活状況に応じて、最適な保険を合理的に選択することです。